夏の漢方薬

梅雨明けした途端、暑い日が続きます。
夏は楽しい季節ですが、暑さは、漢方医学的には身体の健康を損なう外的な因子の一つ(全部で六つあります)とされています。
暑邪(温熱刺激)によって倦怠感、頭痛、下痢、嘔吐、食欲不振などが起こります。いわゆる熱射病、脱水、夏バテなどといわれる状態です。これらの予防や改善に漢方薬は有効です。

夏になったらご飯が食べられなくなって痩せてしまう人、暑さに弱くて汗をかいて疲れてしまう人、暑い時に外にいるとすぐ頭が痛くなる人、汗をかいてひどくなる湿疹など、夏のお困りごとに体質や症状に応じて合っている処方をします。

暑いとついつい氷やビールなどの冷えているものをたくさん取ってしまったり、エアコンで身体を冷やしすぎたりしたことが原因で、倦怠感や頭痛などの障害が出ることも多いです。以前、夏バテなんてしたことがないという男性が、夏の終わりにひどい頭痛が続いて受診されたことがあります。
東洋医学的な診察をすると、身体の中が冷えて水が溜まっているような所見がありました。その夏は猛暑でしたので「冷たいものを飲みすぎてないですか?」と聞くと「毎日氷水をたくさん飲んでいた」と言われました。
その方は半夏白朮天麻湯という薬を出しましたが、今まで痛み止めは全然効かなかったのに、数日で痛みは軽くなり、数週間ですっかりよくなりました。

このように、診察所見から原因がわかることも少なくありません。夏の体調不良を改善したい方はいつでもご相談ください。良い夏をお過ごしください。